小中学校や高校などの教育機関で、生徒の不登校や問題行動、いじめなどに対応するのがスクールカウンセラーの仕事です。文部科学省がスクールカウンセラー事業を積極的に推進していることにより、ニーズが高まっているスクールカウンセラーの業務内容について紹介します。
スクールカウンセラーとは、年々増えている不登校や校内暴力などへの対処法として、文科省が全国の小中高校へ積極的に配置している心理学の専門相談員です。現在、日本には1万5,000校以上の学校にスクールカウンセラーが配置されており、重要度がどんどん高まってきています。
スクールカウンセラーの仕事は、生徒の相談にあたるだけでなく、教職員や保護者に対する助言や援助、各専門機関と調整して連携を取っていくことなども求められます。そのため、スクールカウンセラーには、心理カウンセラーとしての相談能力に加えて、保護者や関係機関と連携を取っていく実務的な能力も求められます。
生徒に対する相談では、不登校に関する内容が最も多いです。内容は、いじめ問題、交友関係、学習関係の問題など多岐にわたります。こういった問題は、親にも関連があることが多いため、親に対する相談・援助も必要になってくるわけです。
また、最近では教職員がストレスを抱えることも多く、教職員のメンタルヘルスに関する役割も重要となっています。スクールカウンセラーが、学内の会議等に出席を求められることもあります。
スクールカウンセラーは、生徒や教職員などの評価をする仕事ではありません。そのため、学校という枠組みを外れて相談をすることができる「外部性」が必要になります。学校においてカウンセラーは「スクールカウンセラーなら心を許して相談できる」という雰囲気を醸し出し、心理学の専門家としての成果を上げています。
そのほか、学校で大きな事件が起こった時や災害の際などに、スクールカウンセラーがクローズアップされることもあります。このような緊急時の生徒の心の傷は非常に大きいものです。急性ストレス障害などを発症することも多く、生徒に対する心のケアが、スクールカウンセラーの役割として求められます。
いまやスクールカウンセラーは、学校になくてはならない存在と言ってもいいでしょう。
スクールカウンセラーになるには、文部科学省の規定で臨床心理士、精神科医、大学教員の資格が必要です。臨床心理士の資格においては、スクールカウンセラーの9割以上が保有しています。
その他に、精神科以外の医師や臨床心理士の資格取得見込み者などが、準スクールカウンセラーとして、学校での相談業務にあたる場合もあります。
「スクールカウンセラー」という資格自体は存在しておらず、この仕事に従事するための必要資格としては臨床心理士や精神科医、大学教員が挙げられます。
スクールカウンセラーの仕事に就く人のほとんどが選んでいる資格が臨床心理士で、こちらの合格率は毎年ほぼ60%台。平成29年度の合格率は65.5%でした。
合格率だけを見ると難易度は低めに思えますが、臨床心理士の受験資格を得るためには臨床心理士養成に関する指定大学院または専門職大学院などの修了が必要なので「受験自体が狭き門」とも言えます。その点まで考えると、決して難易度の低い資格とは言えません。
そして精神科医となるとさらに難関です。医師免許だけでなく、精神保健指定医という資格も取得しなければなりません。
精神保健指定医の資格申請には、精神科3年以上を含む5年以上の臨床経験がある精神科医が講習を受けた上で所定のケースレポートを8例提出することが必要で、スクールカウンセラーになるためのルートの中でも、超難関ルートとなってしまいます。