箱庭療法は、心理カウンセラーが見守る中、自分の心と対面することを目的に行われる心理療法です。
ここでは、箱庭療法がもたらす効果や、箱庭療法が向いている人の特徴を紹介したいと思います。
砂が入っている箱の中で、人や動植物、乗物、キャラクターなどのミニチュアを使って自由に遊ぶことにより、心の様子を表現できる心理療法のひとつを箱庭療法といいます。
箱庭療法を受ける側がとにかく好きなように表現するだけで、心理カウンセラーはその過程を見守ります。
砂やミニチュアを使いながら自分の思い描くことを好きなように表現するだけで、無意識に抱えていた悩みや、心の葛藤と向き合うことができます。
心理カウンセラーが用意した箱とミニチュア材料を使って箱庭を作っていきます。
箱の形に決まりはありませんが、一般的に約50㎝の長方形の箱を使用します。箱の内側は水色に塗られていて、砂が敷き詰められています。
箱の中に入れるミニチュアの種類は様々ですが、一般的に人、動植物、建物、乗り物、家具、キャラクターなどが使われます。
箱庭療法のルールはとにかく自由に創作すること。自分の思うままに風景や場面を作っていくのです。制限時間は通常1時間程度。
この1時間は自由に場面を作る時間なので、心理カウンセラーがあれこれ言ってくることもありません。一応制限時間は設けられていますが、いつやめても問題ないとされています。
また、途中で取り組むことが苦痛になったら無理をせずに中止しても構いません。
箱庭療法はとにかく作り手の心が表れるといわれていますので、どんな時も自由に行うということが最も大切なことといえるでしょう。
箱庭療法を通じて、無意識に心にため込んでいた不満や葛藤が明らかになるといわれています。
ミニチュアを使って自由に創作するだけなのに、自分の思いが作品に現れるのです。
箱庭で表現し終わったあとに、ミニチュアを置いた場所や様子、選んだミニチュアの特徴について心理カウンセラーと会話をしていきます。
色々と話していく中で、無意識に抱えていた思いにハッと気が付くこともあるのです。
自分の本当の気持ち、心の声を聞くことで「こんなことに悩んでいたのか」と気持ちがスッキリして、最終的には安心することができると考えられています。
また、箱庭療法を何度も繰り返すことで心の変化を実感することもできます。
次第に明らかになる自分の気持ちを受け入れることで、これまで抱えてきた悩みが解決へと向かいます。
箱庭療法は、何をやっても楽しくないし、やる気が出ない、今の生活が不満なのにどうしていいかわからないなど、原因がハッキリとわからない状態のまま悩みを抱えている方は、自分の心と向き合うことで、何に対して不満を抱いているのかわかる場合もあります。
過去の経験を思い出しながら、頑張っている自分を肯定し、言葉を使ってカウンセリングすることで悩みが解決することがあります。
しかし、人によっては言葉の力だけでは解決しないこともあるのです。
箱庭療法はイメージすることが最も大切なため、言葉では解決しなかった方に向いていると考えられます
パニック障害や、抗うつ、不眠などの症状に悩まされているのに、薬を処方されるだけで根本的な解決に至っていない方は多くいらっしゃいます。
箱庭療法は薬を飲むだけでは得られない「自分の本当の声」と向き合うことができますので、薬に頼らず症状を緩和したいと考える方に向いているでしょう。
これまで、様々な経験をしてきたからこそ無理をしながら、自分の本心に気が付かずに頑張りすぎてしまう人はたくさんいます。
大人になるにつれて、「もっと頑張らなきゃ!」と周りに弱音を吐けなくなりますよね。
箱庭療法を通じて、自分の価値観や大切にしたいことを総ざらいすることで、本当はどんな生き方がしたいのか、自分らしく生きることはどんなことなのか?とった疑問を解決することに繋がります。
幼少期に親に酷いことをされた方や、学生時代、友人に言われた一言、やられたことが忘れられないなど、あらゆるトラウマを封じ込めてこれまで頑張ってきた方。
実は、大人になった今こそ、あなたの心が「助けて!」と訴えていることもあるのです。
過去のことは忘れようと頑張っていても、ふとした時に辛いシーンが蘇りその度に心が傷つく…そんな思いをした方もいるはずです。
箱庭療法は、あらゆることをイメージするため、当時の体験を再現しながら、傷を癒すことに繋がります。
箱庭の中に映し出される世界は、あなたの心の様子そのものと言っても過言ではありません。
口では「無理なんかしてない!」と言っていても、箱庭の作品を見ることで本当は無理をしていた、頑張り過ぎていたなど本当の心の様子に気が付くキッカケになるのです。
自分自身を肯定して、認めたい。自分をより理解したいと思う方に箱庭療法は向いています。
場合によっては箱庭療法が向いていないこともあります。
例えば、即効性を求めるケースや、繰り返し心理療法を受けたくないと考えている場合は、箱庭療法以外の心理療法が向いている可能性が高いです。
箱庭療法には箱庭療法の良さがありますが、すべての人に必ず向いているわけではありません。
ご自分の状況と当てはめてみて、興味を抱いた場合は箱庭療法に挑戦してみてはいかがでしょうか。
箱庭療法は、楽しく取り組むことを目的としています。
自由気ままに行うだけで、ご自分の苦手と感じるものの発見に繋がり、気持ちをリフレッシュすることもできます。
また、今後の見通しを考える機会にもなりますよ。箱庭療法は、敷居の低い心理療法のひとつです。
あまり深いことは考えずに「とりあえずやってみよう!」と始める方もたくさんいます。
あなたも箱庭療法を通じて、ご自身の心の声と向き合ってみませんか?