働く人のメンタルヘルスケアの担い手としての役割を持つ心理相談員は、企業の人事・労務部門の担当者や企業と契約している医療従事者が取得するケースが多くなっています。ここでは、心理相談員の仕事の内容や資格取得について説明します。
心理相談員は、厚生労働省が認可する「特別民間法人中央労働災害防止協会」が主催する民間の資格です。
現在、長時間労働などで心身の健康を損なっている方や、職場環境の変化に対応できない高齢労働者が、労働災害を起こすケースなどが増えています。
このような職場環境に対し、心理相談員は職場における心と体の健康づくりの相談スタッフとして活躍しています。
現在、「労働者が職場で心身の健康を保つ重要性」について注目されています。厚生労働省では、「心と体の健康づくり運動(THP)」を推進。その一環として心理相談員資格の取得を推進しているのです。
心理相談員は、民間の資格なので、認定試験はありません。この資格は、3日間の心理相談員専門研修を受講、登録すると心理相談員資格を取得することができます。
研修の受講にあたっては、以下の要件を満たす必要があります。
研修の内容は、精神科医や臨床心理士に求められる高度な専門知識ではなく、働く人のストレスや体の不調に対する気づきの援助や、リラクゼーションの指導などを中心とした、メンタルヘルスケアの技法の習得が中心になります。
心理相談員の資格は、資格取得のための試験はなく、「心理相談専門研修」の受講をして登録すれば心理相談員となれますので、資格試験としての難易度は「ない」と言っても過言ではありません。
ただし、前述のとおり、研修の受講にあたっては所定の要件がありますので、これを満たしていなければ受講はできないため「受講自体が意外と狭き門になっている」という状態です。
また、心理相談員の資格は一度取得すればOKというわけではなく、3年おきの更新審査が必要となっています。更新審査の際に中央労働災害防止協会が定める所定の単位数が得られなければ更新できず、心理相談員としての登録は抹消されてしまうのです。
「資格試験がない」という点だけを見れば資格取得が楽そうに思えるかもしれませんが、受講の要件やその後の更新審査のことまで総合的に考えると、ハードルの高さはそれなりにあると言えますね。
各企業の労務部門の担当者などが取得することも多い「心理相談員」は、産業医が健康測定の診断結果で必要と認めた場合、心理相談やカウンセリングを行います。
企業によっては、提携している医療機関の相談部門に外部委託することで、従業員の健康管理を行います。例えば、週1回などと決めて、対象となる従業員に助言を行うことなどもあります。心理相談員は、ストレスなどの心理的な悩みだけでなく、体の健康に配慮した指導も行っています。