まず何よりも必要なのは、心理カウンセラーとしての知識、技術、そして経験です。そして、知識、技術があることを証明できる資格も必要です。心理カウンセラーとして開業するのには、資格は必須ではありません。ですが、お客様に信頼していただくには、専門の資格を持っていることが大きな武器になります。
国家資格の公認心理士は、資格取得に心理系専攻で大学を卒業し、更に大学院でも学ぶ必要があります。大学受験の準備から考えると、7、8年もの時間がかかってしまいます。0からのスタートであれば、民間スクールの資格を取得するのが、早道です。
資格が取得できても、即開業というのはちょっと焦りすぎです。少しでも実践経験を、できればわずかでもお金をいただける、プロとしての経験を積むことをおすすめします。身近なコミュニティをフル活用して、営業活動をしてみましょう。その時は、自分の強みを上手に伝えられるように心がけることが大切です。心理カウンセラーといっても、取り扱うジャンルは相当多岐に渡ります。自分がまったく知らない領域の相談を、勉強した知識だけで回答しても、相手に満足いただける結果には繋がりにくいはずです。
自分がこれまで経験してきたことや、深く関わってきたことから、心理カウンセラーとしてできることを具体的にしておくこと、そして営業活動ではそれをきちんと伝えることが、信頼してカウンセリングにきていただくためには、とても大切なことです。
開業届とは、事業を開始するときに税務署に提出する書類です。書類といってもA4、1枚の用紙です。開業場所の管轄税務署へ届け出れば即日処理してもらえます。
代表者の氏名、生年月日や住所、どんな商売かなどを記載します。また、屋号の記載も必要です。できるだけ親しみやすく、印象に残る屋号を考えましょう。地域広告やホームページ開設などの営業活動を実施するときに、屋号は特に大切になります。同じ名前のお店やサービスがないかもチェックしておきましょう。
開業届を提出すると、年末に税務署から確定申告関連の書類が届きます。フリーランスで年間38万円以上の所得があった場合、確定申告が必要になります。確定申告には白色申告と青色申告の2種類があります。青色申告は手間はかかりますが、赤字を3年間繰越せるので収益のあがりにくい、事業開始初期には大変ありがたい制度です。月間の収支をきちんとつけ、レシートを保存しておくようにしましょう。
最初は小さな規模からスタートすることをおすすめします。いきなり事務所を構えても、そのコストの割に見合う仕事量があるかどうかわかりません。携帯電話、パソコン、インターネット環境、複合機(プリンターとスキャナー、コピー機能が一体になったもの)、名刺があればまずは十分です。
では、肝心のカウンセリングはどこでやるの?という疑問がわきます。プライベートが保証されていてリラックスできる空間であればどこでも構いません。自宅の一室をそのように整えるか、貸し会議室をその時だけ借りてもよいでしょう。マンションの1室などを借りるのは、初期投資も毎月の費用もかかります。まずは小規模で初めて、経験を積み、顧客数を増やすことが優先です。ある程度、活動の目処がついてから施設の充実は計画しましょう。
心理カウンセラーとして、開業するまでの流れを紹介してきました。様々なポイントがありますが、もっとも重要でしかも一番難しいことは、経験を積むことです。そして2番目に難しいのが集客活動、営業活動です。
経験は、友人知人を当たるだけでは限界があります。相談業務を担当させてもらえるボランティアや福祉施設などでのアルバイトを積極的に探し、経験してみることも必要でしょう。
あちこちでカウンセリング経験をしたことは、口コミとして広がる可能性もあります。また、自分の得意分野に近いカウンセラーへ、客として行ってみることも勉強になります。
資格を取ることより、そこからどうメンタルケアの経験を積むかが心理カウンセラーとして成功できるか分かれ目になるのです。