通常の心理カウンセラーよりも、さらに専門的な知識が必要とされる応用心理士。さまざまな現場で役立つこの資格の特徴や、資格を取得する方法などについて紹介しています。
応用心理士は、日本応用心理学会によって認定されている資格です。
応用心理士という仕事があるというわけではなく、カウンセリングなどを行う仕事に就いている人が、仕事の専門性と具体性を高めるために取得する資格になります。
主に、病院などの医療機関や学校などの教育機関、企業の人事、相手の相談に乗るカウンセラーなどの仕事に従事する人が取得している資格です。
応用心理士の試験は1995年から実施されており、応用心理士名簿によると、2015年3月の時点で全国に約250名の資格保有者がいます。
応用心理士の資格を維持するためには年会費が8,000円必要です。
なお、日本応用心理学会を退会すると、同時に資格も喪失するので注意が必要です。
応用心理士としての専門性は、心理学に関わるあらゆる分野で役に立ちます。
医療機関では、患者の精神的・肉体的な病気による不安や、経済的な不安、そのほか様々な悩みに寄り添い、心を解放するサポートを行っていきます。
企業では、応用心理士の資格を活かして社内カウンセラーとして活躍することも出来ます。仕事の悩みが蓄積されて起こる心の病や、働きすぎによるうつ病は、現代病の一種です。
ストレス社会において、こういった悩みにいつでも対応できる、カウンセラーの存在意義はますます高くなっています。
そのほか、スクールカウンセラーとして応用心理士の知識を活かすことも出来ます。
子供は、自分の心の悩みをなかなか大人に打ち明けないものです。学校内には生徒・児童の心を取りまく、不登校、問題行動、災害時の行動、事件、事故、いじめなどといった多くの事象があります。
子供が言う「大丈夫」を真に受けて何もせずにいると、最悪の場合、命に関わることだってあるのです。
応用心理士はこれらの問題に対して、カウンセラーという専門的な立場から対応していきます。
また、応用心理士の資格を用い、公設・私設の児童相談所などで活躍している人もいます。
相談所で実際に行っているカウンセリング業務は、まさに応用心理士の専門分野と言えるでしょう。
カウンセリングでは、虐待を受けている子供の心理や虐待気味な行動をとっている保護者の心理などを読み、児童をとりまく心の問題を解決していきます。
応用心理士という資格には、負の心理状態を改善させるという趣旨がありますが、それ以外にも、人間心理を現状よりプラスへ持っていくような場合に役立ちます。
例えば、サービス業は顧客に喜んでもらい、常連になってもらうためにも顧客の心理をプラスへ持っていく技術が必要になってくる職種です。
本来、サービス業では、その技術を経験から学んでいくのが一般的な方法です。
しかし、最近では、顧客を確実に獲得する方法として、応用心理士の資格をスタッフに推進し、心理学の観点から顧客獲得を狙う美容院もあると言います。
今後は、こういった美容院のように、心理学の発想をサービス業に使う業者も増えてくるかもしれませんね。
4年制大学または大学院で、心理学やそれに隣接した学問を学んでいる必要があります。そのうえで日本心理学会に入会し、最低でも2年以上の在籍が必須とされます。
さらに、研究論文の発表などを経て、書類審査が通ると応用心理士の資格が与えられます。
応用心理士の資格は、試験だけを受ければもらえるわけではなく、長期にわたって蓄積した知識と経験が求められる、レベルの高い専門資格なのです。