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アドラーの心理学

2013年のベストセラー『嫌われる勇気』の中で紹介され、ようやく日本でも知られるようになったアドラー。ここでは、アドラー心理学の要点を簡単に解説します。

現代社会に勇気を与えるアドラー学説

かつてフロイトの共同研究者でもあったアルフレッド・アドラー。精神科医としても活躍した心理学者です。日本では、2013年に発行されてベストセラーとなった『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社・岸見一郎/古賀史健:著)でその学説が紹介され、自己啓発分野においても高い人気を誇っています。

 

フロイトの共同研究者でもありながら、フロイトとはまったく正反対の学説を構築したアドラー。その学説は、現代社会に生きる私たちに強い勇気を与えてくれます。

アドラー心理学の真骨頂とは?

アドラーは「人間の悩みはすべて対人関係の悩み」と断言します。この部分だけを聞くと、フロイトやユングの学説に比べて、短絡的に感じるかもしれません。
しかしこれは、フロイト心理学をしっかりと咀嚼し、その上で全く異なる学説を唱えた、実に深いものなのです。

 

フロイト心理学と比較しながら考えると、アドラー心理学は理解しやすいでしょう。
フロイトは、人の行動の原因の深層に、無意識があると唱えました。無意識の働きかけが、人の表面的な行動を決定づけている、という考えです。
一方アドラーは、人は行動をとってから、その理由を過去に求める、と唱えました。過去の何らかの原因に動かされているのではなく、目先の目的のために行動し、その結果が良くても悪くても、結果を得た後に、その原因を過去に求めたがる生き物だ、と規定しているのです。

 

トラウマの例を考えてみましょう。
親から虐待を受けた子供がいるとします。その後、子供は成長し、大人になって精神的な病を患いました。こうした状況に対して、一般的な見方であれば、幼児期の虐待がトラウマになって、後に精神の病に侵されてしまった、と考えるでしょう。

 

しかしアドラー心理学は、この考えに真っ向から対立します。
成長した本人が、何らかの目先の目的を前にして精神を患ってしまい、その精神病の理由を、幼児期の虐待のせいにした、と捉えるのです。

 

「子供の頃にイジメを受けたから他人とコミュニケーションを取れない」のではなく、「他人とコミュニケーションを取りたくないから子供の頃に受けたイジメのせいにする」。
「家庭環境が悪かったから結婚できない」のではなく、「結婚できないから育った家庭環境の悪さのせいにする」。
このように、人は原因によって動かされているのではなく、現在の目的によって動かされているのだという考えが、アドラー心理学の特徴です。

 

アドラー学説は心理学というよりも、むしろ人生論に近いと感じる人も多いでしょう。
しかし考えてみれば、とても不幸な家庭に育ち、虐待を受けながらも、自立して立派に生きている大人など、たくさんいます。もちろん、その逆もまた然りです。
トラウマという現象は確かにあるのでしょう。しかし、人生にとってトラウマとは、私たちが想定しているほど、大きな影響を持ったものではないのかも知れません。

 

不幸な人生を歩んだ人が自分を変えることができないのは、過去の経験に支配されているからではなく、現在の自分を変えようとしていないから。アドラーの学説は、ともすると楽な方へ流れがちな現代の我々にとって、非常に耳の痛い理論でもあります。

 

なお、アドラー心理学のことを、個人心理学と呼ぶこともあります。

劣等感が人間を成長させる、という考え方

現代の「劣等感」という概念は、アドラーがはじめに作ったと言われます。
アドラーは、幼い頃から、声帯に痙攣を持つ病気に悩まされました。そのため、幼少期から強い劣等感があったと伝えられています。
しかし、後年のアドラーの講演活動の記録には、声帯痙攣が確認できるような記述はどこにも見られません。おそらく、何らかの方法で病気を克服したのでしょう。

 

アドラーは、自身の診療所で治療を受ける人たちを観察する中で、「身体的な弱点を克服しようと努力することによって、これを克服するばかりか、強みとして活かしている人が多い」ということに気付きました。
やがてこの考えを発展させ、「身体的な弱点の有無に関わらず、何らかの劣等感を抱いている人間は、これを補償するような行動をとり、精神的な強みに変えていく」という理論に達しました。思い込みであれ何であれ、劣等感を持つことこそが、人を成長へと導く原動力になる、という考えです。

 

アドラーが声帯痙攣を克服したのは、身体的特徴における劣等感からであり、また、心理学者として成功したのは、フロイトに対する劣等感だったのかも知れません。