産業カウンセラーは、1960年から始まった歴史のある資格です。主に企業で働く方のメンタルヘルスやキャリア開発を担当し、企業の労務・人事部門で力を発揮することができる産業カウンセラーの資格の概要や取得方法について説明します。
産業カウンセラーは、企業などの組織で働く人やその家族を対象に、カウンセリングやコンサルティングを通して、心の問題をケアする専門家です。心理カウンセラーの中でも、職場でのストレスや人間関係に特化して、働く人の心の問題を解決する手助けを行います。
近年、仕事上でのさまざまな問題点が大きく取り上げられていることもあり、注目度の高い資格です。また、産業カウンセラーの資格取得後、上級資格であるシニア産業カウンセラーやキャリア・コンサルタントにステップアップすることもできます。
一般社団法人「日本産業カウンセラー協会」が実施する試験に合格すると、産業カウンセラーの資格を取得することができます。試験は、学科試験と実技試験の2つ。試験は1月下旬に実施されます。近年の合格率は、学科試験が約70%、実技試験が約65%とやや高め。
産業カウンセラー試験は、以下の3つの受験資格のいずれかを満たすことで、受験することができます。
学科試験は、産業カウンセリング概論やパーソナリティ理論などについて、5肢択一のマークシート方式で行われます。実技試験は、30分程度のロールプレイと口述試験。
学科試験と実技試験は、いずれも概ね6割以上の得点で合格となります。また、どちらかの試験で合格した場合は、その合格した試験が翌々年度の試験まで、試験免除となります。
産業カウンセラーの試験では、実技能力評価制度によって実技試験の免除を受けることもできます。この制度は、試験年度の産業カウンセラー養成講座、または前年度の養成通信講座を修了し、面接実技能力が一定以上の水準だと判断された場合に、実技試験の免除が適用されるものです。
2017年度の産業カウンセラー試験合否結果は、学科試験合格率は72.9%、実技試験合格率は69.3%、そして総合合格率は65.7%となっています。
その他の年度別の推移を見ても、総合合格率はおおむね60%台なかば~70%程度で推移しており、約3分の2が総合合格できているという計算になります。
これを見ると、産業カウンセラーの難易度は、全体的に見れば「難関資格ではない、むしろやや難易度は低め」と言えます。
ただし、2011年度は総合合格率60.5%、2014年度は総合合格率60.7%になったことがあるなど、年度によっては合格率がぐっと下がることもあるので油断は禁物です。
「講座を受けるなどしてしっかりと学び、受験資格を得た人の中から3分の2程度、あるいはそれ以下しか合格できない」というぐらいの心構えで、気を引き締めて臨みましょう。
産業カウンセラー試験の受験資格ともなっている産業カウンセラー養成講座は、試験実施団体の日本産業カウンセラー協会が実施しています。
養成講座では、産業社会特有の悩みなどに対するカウンセリングの手法について、理論面と実践面の両面から学習できます。すべての心理カウンセリングの基本である、クライアントに共感しつつ、その話を傾聴することに力を入れているのが特徴です。