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ユングの心理学

ユング心理学の代表的理論、「集合的無意識」と「タイプ論」について解説します。

ユングと言えば「集合的無意識」

フロイトに次ぐ心理学の巨匠、カール・グスタフ・ユング。彼の学説の中で最も有名なものは、集合的無意識でしょう。用語だけなら聞いたことがあるという人も多いと思います。ここでしっかりと内容を理解しておきましょう。

 

あなたは、「母親」という言葉を聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?あなた自身のお母さんではなく、一般的に認識されている「母親」像、または、母親という生き物の「あるべき姿」を頭に描いてみてください。おそらく、包容力があり、やさしさがあり、家族や周りをしっかり守っているイメージが浮かばないでしょうか?
こうした母親のイメージは、決して日本だけにおけるものではなく、世界中どこでも共通しています。さらに言えば、太古の昔から変わらないのです。

 

一方、「父親」という言葉に対するイメージはどうでしょう?こちらも、あなた自身の父親ではなく、一般的にあるべき「父親」像をイメージしてみてください。
強く、厳しく、たくましいイメージが浮かばないでしょうか?こうした父親に対するイメージも、やはり日本だけではなく、古今東西に共通しているのです。

 

このように、人類に普遍的に共通するイメージのことを、ユングは「元型」と名付けました。母親や父親だけではなく、海や空、星などに抱くイメージにも、人類共通の元型が存在するのです。
日本語にはありませんが、多くの外国語には、「男性名詞」と「女性名詞」があります。これは男性っぽい、これは女性っぽい、という共通のイメージによって、いつのまにか分かれていったものです。
また、世界各国に伝わる神話や童話の多くも、いくつかの元型パターンに分けられることが分かっています。

 

では、一体どういった理由で、古今東西の人類はみな、同じような元型を抱くに至ったのでしょうか?

 

ユングは、元型の背後にあるものを「集合的無意識」と名付けました。
国を超え、民族を超え、人種を超え、そして歴史を超えて、人類の無意識の深層に共通して存在するものを、集合的無意識と呼んだのです。
もちろん、特定の地域や、特定の時代のみに共通する元型であれば、そこには集合的無意識は存在しないことになります。

 

ユングが、こうした元型が人類共通のものであるという確信を得た理由として、東洋の曼荼羅(マンダラ)があります。曼荼羅とは、仏教において儀式や瞑想に用いられる、お釈迦様が描かれた絵のこと。まるい円の中に描かれたお釈迦様の絵が、さらに大きな円の中に、秩序よく配置されています。
この曼荼羅こそ、ユング自身が描いた集合的無意識の概念図とそっくりだったのです。
ユングはこうした理由から、西洋でも東洋でも、過去でも未来でも、人類に共通する無意識、つまり集合的無意識が存在すると考えました。

 

ちなみに、ユングはこのことをきっかけに、東洋思想の研究にも没頭していくこととなります。ユング心理学は、東洋思想から多くのヒントを得ているのです。

聞いたことありますか?ユングの「タイプ論」

世の中には、内向的な人と外向的な人がいます。皆さんも、自分自身がどちらのタイプに属しているか、自覚があるでしょう。

 

ユングもまた、人間を大きく、「内向」と「外向」の2つのタイプに分類しました。何らかの心的エネルギーを発するときに、それが自分自身という内側に向く(内向)か、他者という外側に向く(外向)か、という違いです。

 

あわせてユングは、人間の心のパターンを4つに分類ました。「思考」、「感情」、「感覚」、「直感」です。

 
  • 思考とは
    物事を理屈で考えようとするタイプ。好きか嫌いかといった基準ではなく、心地良い、心地悪いといった基準でもなく、ひたすら論理性重視で判断します。男性に多いと言われます。
  • 感情とは
    思考と反対のパターンです。論理性はあまり重要ではなく、好きか嫌いか、心地よいか悪いかを最優先にして物事を判断するタイプを指します。こちらは女性に多いと言われます。
  • 感覚とは
    目の前の物事を、あるがままに、まるで写真に撮ったかのように判断するタイプ。そこに自分の価値基準や論理的なストーリーなどはなく、ただそのものを見たままに捉えるタイプです。
  • 直感とは
    思い付きなどを重視するタイプのこと。論理的ではなく、かといって感情的でもありません。また、物事をあるがままに見ることはなく、物事の本質だけを捉えるタイプです。
 

思考と感情は正反対のタイプ、感覚と直観は正反対のタイプとなります。

 

このように、ユングは人のタイプを「内向」と「外向」に分けた上で、人の心を「思考」、「感情」、「感覚」、「直感」に分けました。これを「タイプ論」と言います。つまり人は、2×4=8パターンのいずれかに分類される、と考えたのです。

 

ユングはさらに、「個性化(自己実現)」という概念を提唱しました。
上の8つのタイプの中で、自分自身がどのタイプに属するかを認識することで、自分の最も優れた機能、またそれと対極にある最も弱い機能を自覚します。優れた機能はさらに磨きをかけていき、弱い機能は意識して開発するよう努めます。
こうした過程を「個性化の過程」と呼び、本当に自分らしい自分になる(=自己実現する)ために必要なプロセスであると考えたのです。

ユングとフロイトの関係

心理学のビッグネームと言えば、フロイトとユングです。実はこの2人、直接の師弟関係にあり、同じような学説を唱えて研究をしていたこともあり、深い親交がありました。
ところがいつしか、ユングはフロイトの学説の一部に疑問を感じるようになっていきます。そしてフロイトに対する不満をたまらせた挙げ句に、彼の学説を否定するような著書を発表してしまいました。これを機に二人の関係は悪化してしまったのです。

 

しかし、もともとユングが心理学者、精神分析学者、精神科医を目指したのは、フロイトの『夢判断』を読んだことがきっかけでした。自分の著作をきっかけに、尊敬する師匠との決別に至ったことで、大きなショックを受けてしまいます。ちなみに、ユングは典型的な「内向」タイプ。精神科医でありながら、精神病の一歩手前まで陥った、と言われています。